久々のアナログ回路についての投稿です。
僕はマイクロマウスで LiPo バッテリーを使うことが多いのですが、そこで大事になってくるのが バッテリー電圧監視回路 です。
この LiPo バッテリー、電圧に関してよく見てあげないと 過放電で膨張・破裂・爆発 ということになってしまいます。なので使いすぎて電圧が下がりきってしまう前に使用を中止して再度充電をする必要があります。炎上の動画
最近の LiPo は端子短絡、充電時にバッテリーの種類を間違える、ということをしなければまず炎上しないと言われていますが、それでもなお電圧監視は必須です。本記事ではこの監視回路について(素人目線ながらも)掲載したいと思います。
電圧低下検出回路
ということで、バッテリー電圧(Vbat)の残量低下を検出する回路を以下に列挙したいと思います。これは実際に調べたとか、他の人に見聞きしたとか言うことではなく、思い浮かんだものを並べただけです。他にいいアイディアがある人は是非教えてね!
小型電圧計をつける
目視で常に電圧を見る一番確実な方法です。電圧計を直接接続してしまって、常時生の電圧値を人間が監視するという方法です。ただ、ハーフサイズのマイクロマウスや基板実装面積が小さい回路などでは大きくて使用できないかもしれないです。秋月じゃなくても売っていますが、とりあえず秋月の販売ページを載せておきます。
分圧してマイコンのA/Dを見る
ADC 付きのマイコンを積んだ回路には便利な方法です。外付け回路も抵抗器2個だけというスッキリとした構成。小さい回路でも十分に実装可能です。
入力ピンの最大入力電圧を超えないように抵抗器で分圧してしまって、それを読ませるという方法です。マウサーたちの殆どが(おそらく)この回路を採用していると思われます。マイコン側が具体的なバッテリー電圧値を知ることができるので、PID ゲインの調整にも役立ちそう。以下が回路図です。分圧電圧 Vdiv を見るという感じです。
しかしながら、万が一接触不良があるとバッテリー電圧がマイコンに直接入力され、マイコンがこんがりと焼ける可能性があるので細心の注意を払わなければなりません。下部の抵抗の接続が切れると危険です。
電圧監視ICを使う
マイコンで読ませるのが危険なら、外部に IC を設けてしまえばいいじゃないか という発想です。事実、「低電圧ボルテージディテクタ」なるものが売られています。例えば秋月で売っているやつは 2セルまでなら対応できます。
検出電圧は 2.1V なので、これも結局分圧で対応することになります。この IC は 5個入り100円で、つまり1個20円という超低価格なのも推せるポイントです。
先ほどと同じ抵抗分圧なのですが、この IC は入力電圧が 10.0V まで対応しているので、万が一抵抗器が取れても IC 及び回路が壊れません。動作しないと言うだけになります。安心ですね。
出力は nMOS のオープンドレインなので、それさえ注意してしまえば OK です。例えば接続は以下のように。図中での Vdd は回路の電源ということではなく、ボルテージディテクタ側の入力端子名です。お間違えなく。
オペアンプ/コンパレータで電圧比較
所望の電圧入力がない場合、あるいは「そんなの当てにならない」という場合は自作することも出来ます(それはそう)。オープンドレインタイプのコンパレータを用いることで、上の回路と同じ働きをする回路を自作できます。例えば秋月だとこれとか。
反転入力端子にはリファレンス電圧(基準電圧)(シャントレギュレータやら、バンドギャップ・リファレンス、ツェナーダイオード、LED)を接続し、非反転入力端子にはやはりバッテリー電圧の分圧を入力すればいいと思います。
電圧低下の通知方法
さて、電圧を検知する回路を述べてきましたが、これをどうやって動作させるか、ということになりますね。以下にごく僅かですが、浮かんだ方法を説明したいと思います。
LEDをインジケータにする
最も簡単な回路だと思います。電圧がヤバそうなときは特定の LED を光らせることで、視覚的に「そろそろ充電だよ」と知らせることが出来ます。マイコンの場合はプログラムで GPIO をそう設定すれば良いわけですし、ボルテージディテクタの場合は バッテリ電圧 + 抵抗 + LED を IC の出力端子に接続してしまえばそれで出来ます。
ブザーを鳴らす
光らせるよりも耳で警告音を聞いた方が危機感があっていい、ということも言えます。そこで圧電ブザーをつなぐと思うのですが、パルス波形を生成する必要があります。どうするかは皆さん次第ですが、最もメジャーなのはマイコンでA/D or ボルテージディテクタの信号を接続 して波形を出力だと思います。
なお、ボルテージディテクタ IC にも、電圧低下時にパルス波形を出すというものがあります。これを使ってもいいと思います。マイコンが一切関与せず音が鳴らせる半面、マイコンからのブザー入力とボルテージディテクタからの波形がバッティングしないように制御するロジックIC部が必要になってしまうというデメリットがありますが。例えばこんな回路が必要ですよね(非鳴動時のマイコンからの出力レベルが High の場合は AND にしましょう)。
そもそも電圧が低い時に電源を入れさせない/プログラムを実行させない
上のような実装をしても「後もうちょっとだけ回路を動かしたい」と、人間たるもの欲が生まれてくるものです。これによる事故を防ぐために、そもそも回路を動かさせないという構造にするのもいいと思います。
マイコンの A/Dで見るときは、起動時/回路駆動開始時にバッテリー電圧が基準値以下の場合は動かさないということで簡単に実装できます。また、外部でボルテージディテクタ等を使うときは、プルアップしたICの出力端子をマイコンのリセット端子につないでおくとか、電源スイッチ部の制御部につないでしまうということもできると思います。
〆
いろいろ考えてみましたが、とにかくみなさん、LiPo を使うときは電圧管理をしっかりとしましょう。電圧管理をしない回路は動作する資格がないと言ってもいいくらいです。
それでは安全な LiPo ライフを。