DCモータを用いたマイクロマウス設計においてモータードライバを選定する際、ローム社製の BD6231 を使用してみましたのでその感想を述べます。
条件
電源は2セルの Li-Po とします。ですので 8V 〜 6.2V 程度の範囲で動くモータードライバが必要となったわけです(でもこんなに高い電圧で動かす必要もなかったなぁ)。マイコン電源は 3.3V としますので、ロジック電圧と電源電圧の両方に対応しているものの選択が必要になります。
秋月電子で購入可能なものの中から選択です。東芝製の DRV シリーズも見ましたが、定格範囲がいまいちだったり、そもそもディスコンになるんじゃねという危機感から、ロームの製品を選択しました。他にも TI とか使用している人が結構いていい感じでしたが、電圧的に駄目ということでナシにしました。
決定
ということで決定です。
スペック
データシートからパクってくるとこんな感じらしいです。
結構いい感じなのですが、ロジックの入力電圧Hレベルの最小値しか書いていないこと、入力電圧Lレベルの最大値しか書いていないことがとてもとても気になりますねぇ...多分記載の電圧を超えて/下回っていれば問題ないようですが...
調査
実際に使っている人がいるかな〜と思って調べたのですが、あんまり多くはないようですね。以下その例です。
上のサイトでは電源が 12V、ロジックが 3.3V でしっかり動いているとのことなので、十分期待ができそうです。
実装
実装してみたが...
ろくに回路テストをせずにマイクロマウスに組み込みました。しかしモーターが回らない!
マイコンから 3.3V の PWM のパルスが来ていることは確認できていますが、どうも出力電圧のパルスがピークで 350mV 程度になってしまっているよう。う〜〜〜〜ん。。。。。
解決
どうやらこの IC、熱に弱いようで、はんだ付け時に熱しすぎると死ぬっぽいですね。なのでちゃっちゃとはんだ付けをしなければならないようです。一度マウスからこのモタドラを去勢して新しく買って付け替えました。殺した BD6231 の数、3つ。合計で 180yen * 3 = 540yen だけ焼きました。
焼いたというより、まともな電圧がモータ部に出てきません。あ、これ死んでるな、と。
目安として、半田付けのときは1つ足をつけたら冷ましたほうが良いと思います。また、コテの温度も400度以上にし、フラックスをベチャベチャに塗ってサクッと付けた方が良いです。もちろん腐食を防ぐためにフラックスはアルコールで洗浄しておきましょうね。
言い忘れていましたが、ロジック部(FIN, RIN)は3.3V でも駆動可能であることを実際に確認しました!データシートの通り 2.0V くらいから High とみなすようです。
使い勝手
STM32 での PWM モード1 が H -> L への遷移だったので、逆の逆 ということで Duty の生の値がそのまま利用できて使用しやすかったです。このモタドラの PWM モードA は、50us 以上パルス入力がないとスタンバイモードになってしまうというせっかちさんです。あおいマウス: STM32でモータ制御1であおいさんがこの仕様に出会っていました。ということで、使うなら PWM Bモードをおすすめします。これなら最小入力周波数という概念はありませんので。
IC 1個につき回路は1つだけなので、回路面積的にはデメリットだと思いますね。ハーフマウスやる人にとってはかなり大きい IC になってしまうと思います。上の画像ではピンヘッダが 2.54mm ピッチなので、それを参考にしていただくとサイズがわかりやすいかと。
また、タイヤロック時(ストール時)はしっかり電流制限が働いてくれて、特に電池や回路素子への影響はないようでした。とても優秀ですね。